日々是色々・1
初めて顔を会わせた日の互いの印象は最悪だった。
バショウから見たブソンは粗野でガサツな男だったし、ブソンの目に映るバショウは女性のような容姿の頼りない青年。
趣味も思考も性格も正反対。
「貴方という人は…」「てめぇはホントにっ…!」
言葉に遠慮のないブソンとその一言一言にトゲのあるバショウは、誰が見てもうまくいくペアではなく、実際ケンカばかりの二人だった。
しかし、時間が経つと相手の本当の姿が見えてくる。
そつなくクールなバショウが実は大変な努力家だと知った時、ブソンの驚きはたいそうなものだった。
バショウも、乱暴な行動とは反対に周囲に目を配るブソンに感心した。
互いを認め合い尊重し、団員としてのレベルを上げ力をつけてきた頃、二人は幹部試験を受ける事になった。だが、バショウは過去に二回試験に落ちており、幹部試験は彼のトラウマになっていた。
試験は広域訓練所で行われた。
スタート地点からノロシの上がっている施設まで、二人一組二日で到着すればいい。手持ちポケモンは原則一体。施設に入るまでに他に五体を捕獲する事が条件である。
環境や天候に左右されるため、合格率は極めて低いとされる幹部試験。
だが、本当の理由はもっと別のところにあった。二人がそれを知るのは、まだ先の事である。
事故は突然やってきた。
足場の悪い岩山を進む途中、ロープを伝っていた二人に向かい、真下から強風が轟音を立てて吹き上がった。
風にあおられたバショウの手がロープから離れ…
「バショウ!」
とっさに伸ばしたブソンの手は、しかしバショウには届かず、彼は岩の裂け目に落ちていった。