日々是色々・5
二次試験は三日後だった。しかし、二人に障害となる要素はもはや何もない。
幹部試験合格率が極めて低い理由は天候でも環境でもなく、一次の課題で二人の間に生じる亀裂だった。
冷静さを失ってケンカ別れをするペアの、なんと多い事か。
「でも、お前だってあの時はそういう顔をしていたんだぜ」
「言わないで下さい。反省していますよ」
合格の連絡が届いたのは、それからすぐの事だった。
幹部になってしばらくの期間、ブソンは車両整備工場へ、バショウは情報管理部の資料室へ配属された。
そして、特務工作部としての仕事から完全に離された事を疑問に思い始めた頃、二人に新たな任務が下りた。
一般人に紛れて生活しながら、ブソンには最新式の車両や重機の構造を調べる任務が。
バショウには関係施設のコンピューターから情報を入手する任務が。それぞれに与えられたのである。
工場や情報部での仕事は、このための下準備の意味があった。
一週間後。
コガネシティのアパートへ、二人は兄弟と偽って移り住み、周囲に溶け込みながら任務をこなしていった。
バショウは大学生の弟として。ブソンは整備士の兄として。
特務工作部の幹部クラスは、こうして全国に散らばって密かに動いている。
仲の悪かった二人が、偽りとはいえ兄弟として暮らすまでになったのだ。月日とは本当に不思議なものである。
「次の獲物はライコウだとよ。ここんとこ退屈していたから、奴に会うのが楽しみで仕方ねぇな」
「遊びに行くのではありませんよ、ブソン」
本部から与えられたライコウ捕獲作戦を受け、二人の心は宝物を探す子供のように高揚する。
ごくごく普通の日々と、非日常的な特務での日々を行き来する二人。
交差する表と裏の世界のどちらが彼らの生きる場所なのか。場所になるのか。
今はまだ分からない事が、案外二人には楽しいのかもしれない。
日々、これ、いろいろ。
(コガネシティでの生活は「例えばこんな日常」になります)