特務、逃げるの巻・4
ジャッキーとピジョットの体は、高い木のてっぺんに引っかかっていた。
ケガを負わなかったのは、枝や葉がクッションになったからだろう。不幸中の幸いである。だがピジョットのダメージは大きい。周囲にポケモンがいない今、追跡は諦めざるを得ない。
ロケット団はハガネールとベトベトンをボールに戻すと、、オニドリルの脚に掴まりその場を離れた。
口惜しい。しかし、応援のレンジャーを待つ以外ジャッキーに出来る事はなかった。
山を下りる途中の山道で、ロケット団のランドクルーザーがバショウとブソンを出迎えた。
運転席のタツミは特務工作部のメンバーであり、二体のオニドリルの持ち主でもある。
「無線で言ってた追手というのは、上手くまいてきたのか?」
荷台に乗った仲間をルームミラー越しに見ながら、男は答えの出ている質問を口にした。
「もちろんだ。俺の機転のおかげでな」
そう言って胸を張るブソンを、相棒は銀鱗のように鋭く光る険しい目で睨みつけた。
「機転?……とんでもない。もう少しで死ぬところでしたよ。ブソンと心中なんて、冗談でも遠慮します」
結果としては逃げ切れたが、過程に問題があったらしい。それもかなりの問題だ。
まずい事を聞いてしまったと、タツミは内心焦った。
「死ぬ死ぬうるせぇな! あの時飛び降りたから、次に進む事ができたんじゃねぇか!」
「何を言ってるんですか。飛び降りた瞬間から、すべて私に丸投げだったでしょう」
そこから始まった口論は、車がどんなに進んでも一向に収まる気配はない。
タツミは、いい加減にしてくれと言わんばかりの半眼で、
「俺がここから逃げたい……」
そうポツリとつぶやいた。