ペテン師は誰だ!・12

絵板もの

小型ライトで周囲を確認しながら、ロケット団の二人はやっとの思いで倉庫の外へ出た。
バンナイとははぐれたらしく、まだその姿は確認出来ない。警報ベルの音がいつの間にかやんでいる。恐らく彼が装置を止めたのだろう。
倉庫はそれ自体も大きいが、その敷地も比例するように広く、ところどころには外灯がほのかな明かりを灯している。
だから、真夜中でも完全な闇になる事はない。そのぼんやりと光の落ちる場所に、ひとつの影があった。
薄紫の制服をりりしく着こなしたジュンサーである。

バショウは少し身構えたようだったが、ブソンは無言で彼女を見つめた。
「貴方達、ここで何をしているのっ?」
ギンッとした瞳で男達をにらみつけ、特殊警棒の先端を二人に向けて声を張り上げる。だが警察官の姿に動じる事もなく、金髪は意地の悪い笑顔を見せながら口を開いた。
「警察の応援なら来ないぜ。警報装置の自動通報システムを、俺が前もって切ったからさ。残念だったなバンナイ」
ジュンサーの片眉がピクンと跳ねる。
それから二人に向けていた警棒をゆっくりと下ろすと、上目遣いでいまいましげに大男をにらんだ。

「応援の警察官に紛れて逃げるつもりだったんだろう。俺達を美術館荒らしの犯人にしてな」
「いつ、その事に気づいた?」
ジュンサーの声で…しかし口調はバンナイのままで、しぼり出すように言葉を吐く。
「つい先日だよ。この計画を聞いてから、お前の今までの行動を調べさせてもらった。すると、お前の盗みのパターンには第三者がからんだ事例がひとつもない事が分かったんだ」
「…それで?」
「お前にとってさほど難しくもない仕事に、執拗に俺達を引き込もうとする。つまり、俺達を使って他に目的がある…捨て駒としてな。そう判断したのさ」
バンナイはしばらく黙り込んでいたが、やがて見るからに悪党じみた笑みを浮かべると、握り拳を作った左手を顔の高さまで上げて、
「なるほど…そこまではいい読みだ。しかし、お前達は大事な事を忘れている。それは、お前達は美術館荒らしで俺はジュンサーという事実だよ」
握り拳がクンッと動いた次の瞬間。倉庫の屋上から爆発音が轟いた。寝静まった深夜の街を騒然とさせるには、十分な響きである。
その手に収められていたのは起爆スイッチだったのだ。

「てめぇっ、いったい何をしたっ!」
「音だけで本物の爆発ではない。しかし、すぐに人が集まってくるぞ。逃げた方がいいんじゃないか?」
その時、大通りに面した正門から突然バイクが飛び込んできた。それはバンナイの体ギリギリにすれ違うと、すぐにUターンをし、急ブレーキで彼の目の前にピタリと停車した。
運転していたのは青い制服のジュンサーだった。
「怪盗バンナイ! 貴方を窃盗容疑で逮捕します!」
驚愕の表情を浮かべる怪盗のその瞳に、真っ赤な携帯の端末をつまんでいたずら小僧のように笑うブソンの姿が映った。