ペテン師は誰だ!・3
決行当日の深夜。二人は予定通り美術館の警備室に入り込んでいた。
ここの警備は防犯装置にすべてをまかせており、不測の事態が起これば、近くの警察署へ自動的に通報される仕組みになっている。美術館全体でセキュリティシステムが稼動している中、一番手薄なのが、それを操作する警備室だという事に気づく者は少ない。
「たかが鍵の二つ三つ程度で、重要な警備室を閉めた気でいるとはお笑いだな」
ブソンはすべての鍵のロックを簡単に解除しながら、馬鹿にしたようにつぶやく。
「我々の仕事が楽になるのですから、ここの警備に感謝すべきですね」
「違いねぇ」
ゆっくりと部屋の中へ入ると、二人はペンライトで周囲を照らしながら慎重に進んだ。
ここまでくれば、後は簡単だった。
シラヌイ博士から送られた機材を使ってパスワードを調べ、バショウが防犯システムの管理画面に入り込み設定を変える。それから目当ての石を盗み出し、またすべてをもとに戻しておけば完璧だ。
ところが、ここで予期せぬ事が起こった。確かに切ったはずのシステムが、いきなり動き出したのである。
その時二人は展示ケースを外して、石と台座を持ち出したところだった。
だが、突然鳴り出した防犯ベルの音に驚き、逃げる時点でコハクの石を落としてしまった。
「どうなってんだ、バショウ!」
「分かりません! とにかく今は逃げる方が先決です!」
台座を握り締めたまま美術館を飛び出すと、二人はモンドと落ち合う約束の場所へ走った。
防犯ベルが作動したという事は、警察署への通報もされていると考えていいだろう。自分達はともかく、モンドにまで何かあればロケット団の動きが完全に警察にマークされてしまう。
彼はロケット団である証拠を数多く携帯しているのだ。
「くそっ…今ので時間が大幅に狂ったぜ。あいつ、早めにこっちへ来ているんだろうか」
「彼は律儀な男ですから、時間よりは早く着いていると思うのですが…」
雑木林を抜け細い小道を走る二つの影に、その時突然、
「お二人とも! こっちです、こっち!」
声のする方に顔を向けると、そこにいたのは今しがた話題になっていたモンドであった。