ペテン師は誰だ!・7

絵板もの

モンドが半ベソ状態でアパートへやって来たのは、空がうっすらと明るくなった朝の6時過ぎだった。
夕べの作戦決行時。深夜の公園近くをバイクで通りかかったところ、前後のタイヤが突然パンクしたのだという。
横転は免れたものの暗闇の中でどうしようかと考えていたところ、ふいに背後から薬のようなものを口にあてられ、そのまま意識を失ったらしい。

「気がついたら明け方でした…申し訳ありません…」
いつも車を隠している公園には、あまり知られていないが美術館の裏に直接つながる小道があった。
おそらくバンナイもそれを知っており、モンドがそこを使うと考え罠を張っていたのだろう。あるいは、最初からモンドの跡をつけていた可能性もある。
どちらにしても、バンナイの方が上手だったということか。

テーブルに置かれた暖かいスープに口をつけ、モンドはやっと安心したように目を細めた。
「あ、そうだ。下の集合ポストに手紙が入ってましたよ」
ジャケットの内ポケットから白い封筒を取り出し、二人の前にそっと差し出す。
情報や伝達に漏れがないように、モンドが各地に立ち寄る時には必ずポストを確認するのが習慣になっていた。
彼は配達局員だが、局を経由しないやりとりも数多かったからだ。彼なりの責任感でもあったかもしれない。

機械的に中身に視線を落としたバショウの目が、あからさまな嫌悪の色を浮かべた。
「バンナイです。明日、我々と接触したいと書いてきました」
「なにいっ? いけしゃあしゃあと何を言ってやがんだ、あの野郎!」
「モンドの事も書いてあります。公園の敷地内に車を隠すのは、得策ではないから気をつけるように…だそうですよ」
容赦ない指摘に、少年のような顔が子供の泣き顔のように歪んでいく。
それを横目で見ながら、ブソンがいまいましげに大きく舌打ちをして、
「つまり、奴は何でも知っているという事か。ジープも把握しているとなると、俺達をある程度調べていたようだな」
「私は、バンナイと関わるのは反対です。彼は我々にとって危険すぎる」
それは、慎重なバショウらしい意見だった。