突撃! バトルファクトリー・2
バトルファクトリーの第三作業所にいたダツラは、伝説のポケモンフリーザーとのスキンシップを楽しんでいた。
以前ケガをしていたフリーザーを助けた事で、彼らの間には友情にも似た関係が出来上がっていた。
それからは、こうして「つかず離れず」の付き合いが続いていたのである。
ダツラは、フリーザーを取り巻く環境には人一倍敏感だ。「伝説」に対する視線は必ずしも好意的ばかりではなく、私利私欲にまみれたものも数多い。
そして、今もその臭いが近づいている事に彼は気づいていた。
「フリーザー。向こうの裏口から出て、森の奥まで行ってから低く飛んで逃げろ」
ダツラは小声でそう言うと、自分のモンスターボールを三つ掴み取った。
青い影が建物の外へ飛び出したのと入れ替わりで、ダツラの背後から男の低音が響き渡る。
「なんでぇ…フリーザーの奴、いねぇじゃん」
作業所の中二階の手すりを手袋で覆った手でなぞりながら、サングラスのいかつい男はチッと舌を鳴らした。黒い防寒具についた真紅のR。見上げるダツラの目が、くんっと険しくすぼまる。
「いきなり入り込んできて挨拶もなしとは無礼だろう、ロケット団!」
「我々をご存知でしたか」
もう一人の細い青年が、真冬の霜のように冷たい視線をダツラに向け、たいそう無愛想に応えた。
「真っ赤なR…それだけ自己主張をしておいて、ご存知もなにもねぇさ」
「それもそうですね…。では単刀直入にお聞きします。フリーザーはどこです?」
「せっかちは嫌われるぜ、綺麗な顔の兄ちゃん」
氷の青年…バショウの片眉が、小さく…しかしいまいましげに跳ねる。
「ブソン…ダツラの持つボールをどう思います?」
相棒の問いかけに、ブソンはサングラスを整えながら、
「俺だったらボールは懐にしまっておく。騙すつもりで外に出していても、バトルになればすぐにばれるからな」
「では、その裏をかいて、実はあれが本当にフリーザーだとしたら?」
「言ったろう…バトルになればすぐにばれるって」
不敵な笑みを唇に乗せ、金髪の大男はダツラの赤いキャップを見下ろした。
「オッサン! 俺達とバトルしてもらうぜ!」
「…ダツラだ! ファクトリーヘッド・ダツラ! オッサンじゃねぇよ!」
「なんだっていいさ」
ブソンは、コートの内ポケットからモンスターボールを取り出し叫んだ。
「エアームド、出ろ!」
鋼鉄の翼を持つにび色の鳥は、一度大きくはばたくと風を巻く勢いで作業所の外へ飛び出した。
しまった!
ダツラの表情に、明らかな狼狽の色が浮かび上がる。
バショウの口の端がかすかに上がり、その綺麗な顔に悪党の表情が現れた。
なるほど…フリーザーは外か。そう確信した瞬間だった。