突撃! バトルファクトリー・7

絵板もの

作業所の隅から立ち上る炎は、最初から"ぐんっ"と大きかった。いや、バクーダの炎の連続技を受けてくすぶっていた何かが急激に燃えたのだろう。
「なんのつもりですか、ダツラ」
冷静に慎重に、バショウは硬質の表情でファクトリーヘッドをにらむ。
「このバトルは、どう考えても俺の分が悪い。だから、ここで一気にカタをつけようと思ってね」
言いながら、ダツラは自分のポケモン達を素早くボールに戻した。
「カタをつけるのにポケモンは戻すのか。バトルで正々堂々じゃなかったのかい、オッサン」
「お前に言われたくないな…」
その言葉に、氷の青年はその冷たい瞳に驚愕の色を浮かべた。
ダツラはバトルを放棄したのだ。一気にカタをつけるために。その意味を、バショウはたった今理解した。
「ロケット団…武士の情けで教えてやるよ。この作業所には、少量ながら重機の燃料も保管されているのさ」
「ブソンッ! 退きますっ!」
突然一部が大きく燃え上がり、火は瞬く間に近くの物を取り込みながら二人の周囲に紅蓮の壁を作った。

ダツラは急いで建物の外へ出ると、フリーザーの姿を追って金色の閃光を目指し地を蹴った。だが、バショウとブソンはこの建物を熟知しているわけではない。逃げ道の確保そのものに手間取っている。
ハガネールとミミロルをボールに戻し、二人は荒れ狂う炎の中から出口を探した。
「くそっ! まさか建物全部を犠牲にするとは思わなかった! なんていうオッサンだ!」
「とにかく、今はここを出る事が先決です!」
そうは言うものの、どの方向が安全なのかが分からない今、うかつに動くわけにもいかない。

その時、プリンがブソンのブーツを叩いた。見下ろす男のサングラスに、一方向を指し示す小さな姿が映る。
「…向こうに逃げろって事か?」
プリンはうなずいて、もう一度…今度はさっきよりもっと強い力でブーツを叩いた。
「どうするよ、バショウ」
「どうもこうも…プリンは私のポケモンではありませんから、信じるに足るのかどうか判断出来ません。それは、貴方が一番よく分かっているのではありませんか?」
唐突に、金髪男はピンクのまんまるをわしづかみにすると、自分のコートの胸元にねじ込んだ。
「行くぞ、バショウ」
二人は、出口があると信じた方向に向かって走り出した。