突撃! バトルファクトリー・8
大きな爆発音とともに建物が崩れだしたのは、二人が外に出てすぐの事だった。
ハガネールが普通にバトルの出来るほどの規模を持つ作業所だ。完全に崩れ落ちるまでには、そこそこの時間は有するだろう。しかし、だからといって建物から離れる時間に余裕があったわけではない。
火の粉と爆風を全身に受けながら走り続けて、ようやく安全地帯に入ったのである。
「爆発までに多少の時間はあったんだな。そうでなきゃ、すぐに引火して俺達もおしまいだったぜ」
土煙をもうもうと上げる瓦礫の山を見つめ、ブソンは腹の底から安堵の息を吐いた。
「恐らくダツラは、すぐに引火しない部分に火を放ったのでしょう。自分が逃げる時間とフリーザーを救う時間だけは、なんとしても稼がなければなりませんからね」
「フリーザーはダメだな」
「ええ…今回は諦めましょう。もともと飛び込みで狙ったようなものだったのですから、捕獲出来なくても我々にマイナスはありません」
乱れた髪を整えながら、バショウはそっけない口調で言葉を吐いた。
それから、フリーザーのもとへ行かせていたグラエナとエアームドを連れ帰り、そのまま車に戻って本部へ報告を行った。
本部からは帰還命令が出ていた。
当初の任務はすでに終了しているはずなのに速やかに連絡をしなかったため、本部からおとがめが出ていたのである。
「遊んでいたわけじゃねぇのによ。…ったく、クソ面白くもねぇっ」
「最初の報告が遅れたのは我々のミスですから、これも仕方ありません」
車のボンネットに腰掛けていたブソンは、そのままの体勢で宙を蹴り上げて舌打ちをした。
これから本部に戻り、そこで小一時間嫌味を言われるのかと思うと考えるだけで憂鬱になる。
フリーザーを捕らえるつもりで使用した放電石は、二つに割れて使い物にならなくなっていた。
ダツラが割ったのか自然に割れたのかは分からないが、それについてもシラヌイ博士に報告すべきだろう。
「書類がてんこ盛りだ…俺はもう嫌だ…」
「いいですよ。書類は私が今から準備しますから、貴方には帰りの運転をお願いします」
分かったよ…と力なく返事をしながら、男はコートのポケットから小さな菓子をひとつ取り出し、黙ってプリンに手渡した。
そして、喜んで頬張るピンク色をチラリと見てから、ゆっくりと車のエンジンをかけた。