バショウはメリープの夢を見るか・3
「お前さぁ…倒れてから少し調子が悪いんじゃねぇか?」
「そうかもしれません。いろいろな意味で自分に自信がなくなりました…」
「いや、そこまでの話じゃねぇけどさ。忙しすぎて寝不足なら、メリープの数を数えるといいらしいぜ」
「多忙には慣れています。現に今はタッグバトルの…」
言いかけて、バショウは口をつぐんだ。なぜか場違いな話題に思えたのだ。
「バトルが何だって?」
「いえ、なんでもありません」
そうして、二人はバショウが倒れた現場…物資転送装置のメンテナンス場に到着した。
物資転送装置は、ロケット団配達局が所有する物資の移動機器だ。単独での持ち運びができる大型バッグのような形をしている。
遠方の地へ荷物を送る時に使用するのだが、急に不具合が出たため、機械に強いブソンに修理の依頼がきたのである。
「ブソンが手伝う必要はないでしょう。装備班の仕事じゃありませんか」
「装備は装備で緊急事案が入って、人をこっちに回せないんだとさ」
額にヘッドライトをセットしながら、ブソンは相棒に床の配線といくつかの起動スイッチの整理を頼んだ。
作業を始めるブソンに背を向け、大量のコードを用途別にまとめていくバショウ。
手際はいいのだが、彼はこの仕事も自分が倒れたことも思い出せないでいる。
そして、もう一つ気になること。それは…
「なんだかんだと聞かれたら!」「答えないのが普通だが!」
離れた所から、また前口上が聞こえる。声の主はヤマトとコサブロウだ。
これだ。バショウはこれが分からない。いつからこんなことが流行った? 今までに見たことも聞いたこともない。
ヤマトとコサブロウならそれほど意外には思わないが、やはりムサシの口上は信じ難い。
「宇宙を駆けるロケット団の二人には!」「ショッキングピンク、桃色の明日が待ってるぜ!」
「し よ っ き ん ぐ ぴ ん く っ!……なんなんですか、ここはっ」
自分の理解が追いつかないことが腹立たしいのか、バショウはギリギリと奥歯を噛みしめて唸った。